M&A業界は本当に激務?|忙しさの「かたち」が職種で違う理由と、続く人の共通点

M&A業界への転職を調べると、ほぼ必ず「激務」という言葉に行き当たります。ただ、この言葉はあまり役に立ちません。実際に人が消耗するのは労働時間の長さそのものではなく、忙しさが「読めるか読めないか」だからです。同じ月80時間の残業でも、予定できる山と、金曜の夜に突然降ってくる山では、続けられるかどうかがまったく変わります。この記事では、職種ごとに忙しさの形がどう違うのか、そして面接でその実態をどう確かめるかを整理します。
目次

まず結論:問うべきは「何時間か」ではなく「誰が予定を決めるか」

「残業は月何時間ですか」という質問は、聞いても実態がつかめません。平均値は繁忙期と閑散期をならしてしまいますし、答える側も正直に言いにくい質問です。

代わりに効くのは、「自分の予定を、自分でどこまで決められるか」という観点です。M&Aの仕事は相手のある仕事で、案件の山は交渉相手・買い手候補・専門家のスケジュールで動きます。裁量が大きいと言われる仕事ほど、実は他人の都合に振り回される構造を持っていることがあります。

誤解されやすい点ですが、M&A業界が特別に「体力勝負」なわけではありません。案件が動くタイミングが限られており、そこに作業が集中するという構造の問題です。だから、構造を知って選べば避けられる部分がかなりあります。

職種で変わる忙しさの「かたち」

同じM&A業界でも、忙しさの発生源が違います。ここを混ぜて「激務」と一括りにすると、判断を誤ります。

職種 忙しさの主な発生源 山の来かた
M&A仲介 案件の開拓と、譲渡・譲受オーナーとの調整 読みにくい。相手が経営者のため、面談が夜・土日に寄ることがある
FAS(財務アドバイザリー・デューデリジェンス) 案件ごとの調査・報告書の納期 比較的読める。ただし納期前に強い山が来る
PE(投資ファンド) 投資検討と、投資後の支援 検討中は重く、期間が区切られる
事業会社の経営企画・M&A担当 自社の案件の有無 案件がない時期は落ち着く。ただし始まると集中する

注目してほしいのは「山の来かた」の列です。仲介は相手が中小企業のオーナー経営者であることが多く、先方が時間を取れるのが平日の夜や休日になりやすいという事情があります。これは会社の方針ではなく、顧客の生活時間に合わせた結果です。一方でFASは納期が先に決まるため、いつ忙しくなるかは事前に見えます。

職種ごとの仕事内容そのものの違いはM&A仲介とFASの仕事の流れで扱っています。

コントロールできる忙しさと、できない忙しさ

転職後に「思っていたのと違う」となるケースの多くは、量ではなく種類のミスマッチです。

コントロールしやすい忙しさ

  • 納期が決まっている資料作成・分析
  • 自分で件数を調整できる開拓活動
  • あらかじめ日程が決まっている面談・会議
コントロールしにくい忙しさ

  • 交渉の局面で急に動くやりとり(相手の返答待ちが、突然の対応に変わる)
  • 買い手候補・金融機関・士業など関係者が多い案件の調整
  • クロージング直前の詰め

後者をゼロにすることはできません。M&Aは相手のある取引だからです。ただしその比率は、会社の分業体制によって大きく変わります。担当者が開拓から契約まで一人で通す会社と、工程ごとに担当が分かれている会社では、同じ職種でも一日の形が違います。この分業の度合いはM&A仲介会社は規模で選ぶと失敗するで詳しく整理しています。

続いている人に共通していること

体力があるかどうかより、次の点が効いてくる傾向があります。

1. 待ち時間を仕事だと思っていない

M&Aの仕事には、相手の判断を待つ時間が必ずあります。ここで気を張り続けると消耗します。待っている間は手放しておける人のほうが、長く続きます。

2. 成果が出るまでの時間を、あらかじめ長く見積もっている

案件は数ヶ月から年単位で動きます。短い周期で成果を確認したいタイプの方にとっては、この時間感覚そのものが負荷になります。成約までの期間は案件の規模・業種によって大きく異なるため、応募先での実際の期間を面接で確認してください。

3. 生活側に固定の予定を置いている

意外に思われるかもしれませんが、忙しい人ほど動かさない予定を持っています。すべてを仕事に明け渡すと、山が来たときに引き算する余地がなくなります。

逆に、続かない要因として挙がりやすいのは「思ったより営業だった」「一人で抱える範囲が広かった」という役割の想定違いです。労働時間そのものが理由になることは、実は多くありません。だからこそ、入る前に仕事の形を確かめる価値があります。

面接で実態を確かめる質問

「激務ですか」と聞いても「案件によります」としか返ってきません。事実を答えるしかない形で聞くのが有効です。

質問 何が分かるか
直近1ヶ月で、担当者が休日に対応した場面はありましたか 休日対応が例外か日常か
オーナーとの面談は、何時ごろに設定されることが多いですか 夜間対応の頻度
一人が同時に持つ案件数は平均どのくらいですか 負荷の総量
案件が重なったとき、社内でどう分担しますか 個人で抱える構造かどうか
この1年で退職された方は、どんな理由が多かったですか ミスマッチの発生箇所

最後の質問への答えが曖昧な場合は、続けて「どの職種の方でしたか」と聞くと具体化します。逆質問の組み立て方全般はM&Aの選考・面接で本当に見られていることを参考にしてください。

まとめ

M&A業界の忙しさは、平均労働時間では捉えられません。効くのは山がいつ来るか読めるか、そして自分でどこまで予定を決められるかです。仲介・FAS・PE・事業会社で、この形はそれぞれ違います。

そして、これらはすべて入社前に面接で確認できる範囲にあります。「激務かどうか」を評判で判断するより、忙しさの種類を具体的に聞いたほうが、入ってからのギャップははるかに小さくなります。

どの職種の忙しさなら続けられそうか、経歴と生活の条件から一緒に整理しませんか。
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本記事の職業紹介サービスの提供主体は株式会社Global Platform Japanです(有料職業紹介事業 許可番号:13-ユ-311561)。記載内容は一般的な傾向の整理であり、労働時間・繁忙の実態・分担体制は会社ごとに異なります。実際の労働条件は各社の募集要項および面接でご確認ください。運営会社の詳細は運営会社・ポリシーをご覧ください。

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